指先からはじまるSweet Magic
意図的に低める圭斗の声に、ドキンと大きく鼓動がリズムを狂わせた。


「ぶっちゃけて言うと、同棲?」


結構大胆なことを言ってるのに、圭斗の口調はあまりにサラッとしている。


「まあ、里奈の言う通り、さすがに今日の今日で早過ぎるかな、と思うから、その辺はゆっくり考えてくれてもいいんだけど……って、里奈?」


緊張の糸が、いきなりプツンと切れたように。
大きく膨らんだ風船が、プシュ~ッと勢い良く空気を吐き出していくみたいに。
私は、その場にペタンと座り込んでいた。


「里奈、どうかした?」


驚いた顔をした圭斗が、片膝を床について、私を心配そうに覗き込んで来る。


「一緒に住む……ルームシェアじゃなくて、同棲……」


意味もなく圭斗の言葉を反芻してから、私は無意味に、はは、と笑った。


……って言うか、私一人でバカみたい!!


確かに圭斗の言うことも『恋人』としてまだ早過ぎるけれど、圭斗の方が私よりまだいくらか理性的だ。


私一人が完全に恥ずかしい方向に妄想を膨らませて、ジタバタして緊張して。
その上……圭斗から、獣じみた欲情を感じたなんて思い込んで。
それもこれも、ただ私が邪な気分でいただけだっていうのに。


「……あり得ない。もう、恥ずかしい……」


顔から火を吹くような気分で、私は顔を両手で隠して消え入りそうな声で呟いた。
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