指先からはじまるSweet Magic
「里奈に言う前に宣言したのは悪かったけど。そうでもしないと、おばさんの口から俺が結婚する、とか伝わりかねないし」


確かに。
噂好きのおばさんの口を封じるには、下手に誤魔化さずに、いっそ正面から真実だけをぶつけるに限る。


そしてさすがにお母さんも、圭斗の気持ちを気遣って、圭斗が一人暮らしをした事実すら私に教えてくれなかった、というわけだ。


「……なんか、よってたかって騙されたような気がする……」


圭斗の部屋のリビングで、座り心地のいいソファの上で膝を抱えた私に、圭斗が困ったように苦笑した。


「温かい騙しだと思ってくれると嬉しいんだけど」

「それは……わかってるけど」


こうまでとんとん拍子に圭斗との生活が始まるかと思うと……。


ちょっと落ち着いた心で圭斗を見上げると、ん?と瞬かせた目で見つめ返される。
私は慌てて顔を背けた。


と言うか。
ようやく平静に持ち直した心が、また別の意味でドキドキと騒ぎ出す。


『この続き、したいから』


つい一昨日そんな声を漏らした圭斗を思い出して、私はカアッと顔を赤らめる。
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