指先からはじまるSweet Magic
そして、その翌々日の日曜日。
さすがにこの展開についていけずに呆然とした私を見て、圭斗は笑いを噛み殺していた。
でも、その肩が小刻みに揺れている。


「……信じられない」


すっかり引っ越しを完了して、私のささやかな荷物が置かれた部屋を目の前に、私はそんな言葉を呟いた。


本当に、ノシつけて送り出された。
若干行き遅れた感のある一人娘でも、こんな急な『同棲』なんだし。
もうちょっと親として騒いで欲しい、そう思っていたのに。


「だから、言ったろ?」


この状況を全部見越していた圭斗は、やっぱり涼しい顔。
悔しいけれど……確かに圭斗の言う通りだ。


「俺はちゃんとこの展開を里奈のおばさんに匂わせたし」


そう……これは、圭斗が家を出て一人暮らしをしたことを、私がお母さんから聞いていなかったことも大きく関係して来る。


うちのお母さんは、もちろん圭斗の一人暮らしを知っていた。
その引っ越し先が、一人暮らしには不相応なくらい広い部屋だってことも。


結婚するの!?と声を掛けられて、圭斗はそれを否定して、挙句、お母さんにこう告げた。


『里奈のOKが出たら、里奈と一緒に住みたいんですけど』


あまりに大胆不敵なプロポーズ宣言。
初耳の私はただあ然としたけれど、圭斗は終始シレッとしていた。
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