お隣さんと内緒の恋話
考えもしてなかった壮真の言葉に、柚奈を思うと胸が詰まった。
柚奈…
もし、葵なら… どうしたんだろ。
今だって 私 葵とじゃなくて香伊羅と笑里といるし。
朝から壮真の事でバタバタして…
でも 葵は いちいち 何してる?とか、どこにいる?とか 聞かない…
私の事 気にならないんじゃなくて、私が勝手に動いてて、なんだろ… 縛らない?
葵が心 広い?
「 椿… ねぇ 椿ってば!」
「 あ… ああ、うん、ごめんっ 柚奈ん家行く?」
「 行くしかないでしょ、仮病だけど 」
「 笑里~ 仮病って言わないの、恋の病よ 」
「 椿、それも違うよ、別れたんだから 」
「 香伊羅… それ言っちゃダメっしょ、ね 」
3人それぞれに 突っ込みながら 柚奈の家に行こうと 先にコンビニに寄る事にした。
その時、携帯が鳴り 見れば 葵からだった。
「 香伊羅、ごめん、電話してくる!」
「 あ、例の彼氏?」
「 まぁね~」
香伊羅に言ってコンビニの外に出て葵と話す私を、店内から笑里が見ていた。
「 ねぇ 香伊羅、椿の彼氏って誰?」
「 ああ、ダサ男の上山… あ、聞かなかった事にしといて!」
「 ダサ男… って、嘘、やっぱり… わかった、言わない 」
内緒にしているつもりはないが、香伊羅にはなぜか内緒にしなくてはという気持ちがあったようで、笑里もまた知らないふりをした。
そうとは知らない私はコンビニの外で葵と話していた。
「 葵、ごめんね~ 今から柚奈ん家行くんだ 」
『 玉木、なんかあった? 休みだったし、椿、朝から風見 追いかけてたろ、雅に聞いた 』
おしゃべりなんだから、雅くん…
「 うん、実はね… 」
私は壮真から聞いた柚奈とのことを葵に話した。
葵は柚奈のところに行くのを賛成してくれた。
「 帰ったら また話すね!」
『 わかった 』
そうして私は葵との電話を終えてコンビニに入った。