アサガオを君へ
いつもより少しだけゆっくりと歩きながら、私たちはただ黙っていた。


左手から感じる夏樹の体温が、幸せだ。


きっと夏樹もそう思ってくれているんだと、私は思っている。


夏樹。


ギュッとつないだ手に力を入れた。


すると、夏樹も私の手を強く握る。


それが嬉しくて笑ったら、夏樹もクシャッと笑ってくれた。


ありがとう。


隣にいてくれて。


私、本当に幸せ。


私の思い出にはいつも夏樹がいたよ。


どの写真も、私たちはいつも隣同士。


夏樹がいなかったら、私はきっとこんなにも幸せじゃなかったと思う。


生まれてきてくれてありがとう。


私は不完全で未完成な夏樹で良かった。


そんな夏樹が良かった。


まだ、口に出しては言えないけど…。


私の心の奥にある不純な感情をどうにかできたとき、絶対に言うから。


絶対に伝えるから。


夏樹…。
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