アサガオを君へ
歯を食い縛る私を見て、アッキーはため息をついた。


「俺、帰るわ」


「え?」


アッキーはリュックを持つと、さっと立ち上がった。


「ま、待って」


そんな私の問いかけもむなしく。


アッキーは病室から出て行った。


私は急いでベッドから降りた。


「心」


夏樹が私の名前を呼んだ。


私は少し夏樹を見るのが苦しかった。


それでも夏樹と目を合わせた。


ごめん。


ごめん。


ごめんね。


夏樹はすごく普通で、それが逆に辛くて。


裏切っちゃうね。


ごめんね。


私は変わる。


私は夏樹を振り切るようにパタパタと小走りで病室をあとにした。
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