アサガオを君へ
「浩太。心を困らせんな」


夏樹の声だ。


この声だけで、溢れそうだった涙は眼球の奥に消えていった。


「は?困らせてねーし」


「いや、明らかに心が困ってる。な?」


私に話がふられて、2人の視線が私に向く。


頷こうとして、やめた。


今、夏樹に助けられたら絶対にアッキーは怒る。


それに悔しいし。


私はグッと歯を食いしばって言った。


「困ってない」


一瞬。

後ろの夏樹が、震えたような気がした。
















だけなのかもしれない。
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