アサガオを君へ
私は急に暗くなったことにびっくりして、とりあえず何かに触ろうと手を宙で動かした。


するとパシッとその手を掴まれた。


「落ち着け。携帯持ってきたか?」


私は自分が病室を出てきたときのことを思い返して、見えていないのに首を思いっきりふって言った。


「も、持ってきてない」


「…分かった。とりあえず、汚いけど壁際に座っとけ」


そう言ってアッキーは私の手を離した。


私は一瞬、不安を感じた。


だけど言われた通りに、壁際に座り込んだ。


すると、パッと少し明るくなってアッキーの顔が見えた。


それだけでも、すごくホッとした。


携帯を開いて何かを打ち込むと、すぐに携帯の明かりは消えてしまった。
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