一年の華
「やっぱお前バカだろ。」
「…。」
呼び出された俺を待っていたマサヒロは、帰り道、俺をせせら笑うように言った。
「…音楽は絶対にお前のせいだ。」
「不貞腐れてるからって人のせいにするのやめてくれませんかー?友達なのに、マサヒロくん哀しくなっちゃうじゃーん。」
「友達なんだから少しぐらいとばっちり受けろよ。」
「絶対やだね。」
マサヒロは笑い、俺は愚痴を溢しながら、いつも通りの下校をする。
マジで、なんで俺はこいつといるんだろ。
溜め息をついていると、マサヒロの足が突然止まった。
「お前、今日は数学のワーク持って帰ってるよな?いつもみたいに置き勉してねぇよな?」
疑わしそうな目でこっちを見てくる。
「…?いや、なんで?」
「明日の朝イチに提出だぞ。」
「明日の朝見せてよ。」
「やだね。」
「なんで。」
「嫌だから。」
「…。」
「…。」
「…クソッ!」
俺は百八十度体の向きを回転させ、走り出した。
腕時計を見ると、五時を指していた。
今日楽しみにしていたテレビは五時半から。
間に合わないかもしれない。
やっぱり呼び出しなんてされるもんじゃない。
「アキトー!先帰ってるからなー!」
「クソヒロー!友達やめてやるー!!」
俺は後ろから聞こえたマサヒロの声に、今現在の怒りをすべて込めて言葉を返した。
頭の中でマサヒロの笑い声が聞こえ、余計に苛つく。
学校に戻れたのは五時十分だった。