一年の華
***

「おはよ。」

「…はよ。」

登校の待ち合わせ場所の公園に既に着いていたマサヒロの挨拶を、ボーッとしながら返す。

「何でテンション低いんだよ、アキト。ワーク取りに行ったのはいいけど、帰って寝ちゃってやってないとか?」

「…そうだよな。俺、学校行ってちゃんと取ってきたんだよな?現にちゃんと今、鞄の中に入ってるし?俺、夢見てたんじゃないよな!?」

「…はい?」

変な顔をするマサヒロの隣で独り言を言う俺は、周りから見ればきっとマサヒロの顔よりも変なんだろうが、そんなことは気にしていられない。

昨日のあの出来事から、何に対しても手が付かないのだ。

好きなゲームをしていてもワークの問題を解いていても、集中直前にあの横顔が浮かんでくる。

結局、何も出来ないまま昨日が過ぎて、今に至る。

「お前、何か変なもん食った?」

「いや、何も…。むしろ見てしまった…。変なもんじゃないけど、信じられない物を見てしまった…!」

俺はその場に座り込んで頭を抱えた。

「…マジで大丈夫か?」

「どうしよう、マサヒロ!本当はあんなんなのに、いつもがあれってことは、隠してたってことだよな!?ヤバい!どうしよう!ヤバい!!」

「何見たんだよ。何?殺人現場?麻薬取引?」

「何でそんなもんしか出てこねぇんだよ!」

「だってヤバいんだろ?」

「ヤバい!ヤバいぐらいの美しい…。」

「ああ、ミナミちゃんの裸でも見たか。」

「何で妹の裸!?」

話にならん!と俺は勢いよく立ち上がり、走って学校へ向かった。
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