きれいな恋をしよう
「どっち?」

「なにが?」

「どっちから告った?」

「きいてどうするの?」

「どんなやつだ?」

「きいてどうするの?」

「…いや、うん、いいんだ」

「あっそう」

「なあ、《いっぱい》の《い》を《お》にかえてみて」

「おっぱお」

「……」

 なるほど。フミオがおれをこづいた理由がわかった。

 妹が置いた本に目をやる。おれが貸した本だった。
 背中についているしおり紐がだらしなく投げられている。もう読み終えたのだろうか?
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