【完】幼なじみのあいつ
「鈴、ただいまーーーっ!」
元気よく帰って来た香織に、私の口元が緩む。
一人ぼっちだったから、寂しかったんだよ~っ!!
「お帰り、香織。凄く寂しかったよーっ」
そう言って私はドア付近まで、香織と美香を出迎えた。
「顔色良くなったみたいで良かった!私も鈴がいなくて寂しかったんだよ~」
そう言って香織は勢いよく、私に抱きついてくる。
私の身体がグラついた。
「ちょっ!香織、倒れちゃうよぉ?」
「ごめんごめん。あ、鈴。顔色が良くなってきたね」
「うん、おかげ様で。香織のおかげだよ?香織、だーい好き」
抱きついている香織の身体を、ギュっと抱きしめ返す私。
香織と抱擁し合いながら、視線をソファーに向ける。
「…で?美香は何であんなにイラついてるの?」
ソファーの上で凶悪な顔をしながら、ゴクゴクジュースを飲んでいる美香を見た。
イライラしているのがこっちまで伝わってきて、ちょっと怖い。
美香、何かあったのかな?