【完】幼なじみのあいつ


「んーっ、実は翔君と亮平君が、結構険悪な感じで……ね?」


香織が言いにくそうに美香に助けを求めようとジュースを飲む美香を見るが、我関せず…と言った感じでカンッ…とテーブルに飲み終わったジュースを置く美香。


そしてチラッと私達を見る。



何を言うのだろう?と思いきやすぐに私達から視線を外した美香は立ち上がると、自分のベッドに向かって歩いた。


何をするんだろう?




不思議に思っているとベッド脇に置いてあった自分の鞄を開け、その中からピンク色のビニール製の袋を取り出す。


そしてそのまま私達に目をくれる事もなく無表情で、部屋から出て行ってしまった。



昨日、大浴場に行った時に持っていた袋だからこれから、お風呂にでも向かうのだろう…と予想がついた。



それよりもかなりイラついていたように見える美香に、何があったのか気になってしまう。




香織は美香の後姿を見つめながらドアがパタリと閉まったところで、深いため息をはき出した。


そして私に向き直る。




「…本当に翔君達、何があったの?翔君達の雰囲気、かなり酷かったよ?美香が翔君にかまって欲しくて話しかけても、全く相手にもしてくれなかったみたいだし…」



本当、どうすればいいんだろうね?




「ってちょっと!険悪だったって…、翔ちゃんと亮ちゃんって今、同じ部屋なんだよ?大丈夫かな?」



香織は苦笑いを零しながら、美香の彼氏である聡君からの話しによると昨日はまぁそれなりに大丈夫だったって話しだ。



でもさっきまでの2人の態度から今日の部屋の雰囲気は多分、冷凍庫並みじゃないの?


なんて言いながら笑ってるけど、笑い事じゃないよね?



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