【完】幼なじみのあいつ
「何で亮平君と鈴が付き合う事で、翔君が不機嫌になっちゃうの?幼なじみなんだし祝福すべきよ」
幼なじみがゆえ、複雑な思いがあるのでは?と、思うのだけれど---
「いつも3人一緒だった内の二人が付き合う事で、仲間はずれになった感じがして寂しいんでしょ?実際に翔ちゃん、そんな事言ってたし…。私が翔ちゃんの立場でもやっぱり寂しく感じると思うなぁ」
香織は相変わらず顎に手を当て、難しい顔をしている。
かと思いきや徐に、私の顔をジーッと見てきた。
「…なによ?」
「…………うーん、やっぱり?」
「やっぱりって、何?」
それから言おうか言うまいか、口をモゴモゴしている香織。
一体何が言いたいんだろうか?
「何よ?気になるじゃん…」
「んーっ、こればっかりは憶測でしかないし、他人が勝手に言うのもよくないと思うから言うのは止めておくわ」
ちょっと?!
そんな事を言われたら、ものすごーく気になるじゃない?
私の肩を叩いた香織が、まぁーまぁーと宥める。
宥めてくれるくらいなら、教えて欲しいんですけどっ?!