【完】幼なじみのあいつ


保津川下りの駐車場に到着した私達修学旅行生は船の順番を待つ為、今は並んでいるところ。


保津川の船下りはだいたい16kmあるらしくかなりの時間、船の上で過ごす事になるらしい。



乗り物に弱い私としては、不安でたまりません…。




はぁーっ、


今から憂鬱だなぁ。




「鈴、酔い止め飲んだか?」


「ん?心配してくれてありがとう、亮ちゃん。実はね、風邪薬を飲んだから酔い止めの薬まで飲んでいいのか分からなくて飲んでないの…。あっ!でも頑張るから心配しなくても大丈夫だよ?」



心配そうに私を見る亮ちゃんを安心させようと、精一杯の笑顔を向けたら逆に亮ちゃんの眉が寄り先程よりもっと、心配そうな顔になってしまった。


しまった!


私、笑顔が引きつってたかな?



なんて思いながら何とはなしに後ろを見たら、翔ちゃんの彼女の早紀ちゃんが視界に入った。


早紀ちゃんは女子に囲まれながら、何かを話している。




どこか重たい雰囲気のする早紀ちゃん達に、気になった私はその集団をジッと見た。


周りの女の子達が慰めるように、早紀ちゃんの肩を叩いてるけどどうしたのかな?



目元を指で拭っている、早紀ちゃん。




え?


もしかして早紀ちゃん、泣いてるの?



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