【完】幼なじみのあいつ


「そうだな…。でも今は無理だろう」


「何で?」



やっと口が開いたと思ったら、何でそんな事を言うの?




「そんな事よりも、今は俺だけを見ていて欲しい…」



…うん、恋人になったんだから私はもう、亮ちゃんをずっと見ていなくちゃいけないよね?


でも、幼なじみ同士でまた仲良くしたいって思うのはいけない事なのかな?



伺うように亮ちゃんを見てみるが気付かない振りをしているのか、視線を私から逸らすとまた景色を眺め出す。




これ以上、何を言ったところで亮ちゃんはもう話しを聞いてくれないだろうな…。


諦めた私も前を向き、景色を眺める事にした。




あ…。


一息ついたところで自分の身体の違和感に気付き、グッと息を飲む。




やばい…、


き、気持ちが悪い…かも?



亮ちゃんと手をつないでない方の手を自分の口元に持っていき、何とかこの気持ち悪さと戦ってみる。


…が、気持ち悪さに勝てるはずもなく、周りの素晴らしい景色を堪能する事無く目をギュッと瞑った。




…私達は今、どこら辺にいるのだろうか?


着船場まで後、どの位いかかるのかな?


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