【完】幼なじみのあいつ
不意に、亮ちゃんの身体が動いた。
何だろう?
と思った時には亮ちゃんの手が私の頭に乗せられ、そのまま押された私は亮ちゃんの膝の上に私の頭がのっかった。
ひ、膝枕ですかぁーーー?!
いつもの私だったらすぐにそこからどくのに、今の私はあまりの気持ち悪さにそのままジッと動けないでいた。
取りあえず視線だけで、亮ちゃんにありがとうと訴える。
「気にするな」
私の頭を撫でながら微笑んでくれた亮ちゃんに、自然と口角が緩んだ。
本当にありがとう、亮ちゃん---
横になった事で、気持ち悪さが半減した気がするなぁ…。
そのまま視線を、空へと移す。
すがすがしい青空に自然の香り、それらが川の音と交じり合う事で心が洗濯されていくように感じた。
ユラリ…、ユラリ…、
浮かぶ船の上---
まるで夢の中にいるような心地良さに、眠くなってくる。
幸せだな…。
…と心地良さに包まれていたのに、どこからともなく不快な会話が聞えてきて、今までの安らかな気持ちが台無しとなってしまった。
「ねぇー、今日の帰りどっか寄って行こうよー」
この声は私の後ろにいる、美香の声だ。
きっと翔ちゃんに言ってるんだろう。
チラッと翔ちゃん達を見ると、…やっぱりこの二人だった。
見えたといっても膝枕をしてくれている亮ちゃんの身体で、少ししか見えないけど。