【完】幼なじみのあいつ
「…し、翔ちゃん?」
「俺、馬鹿だよな?鈴が亮平と付き合うと知ってから、俺にとって鈴がとても大切な存在だったって事に今更気付いたんだ。いや…、亮平が鈴の事を好きだと聞いたあの時から…かな?………だから応援してる。鈴が幸せになるのを」
ごめん。
翔ちゃんの言っている意味が分からない。
それって幼なじみである私の存在があまりにも近すぎて、………大切な存在だったと気付いたっていう事は、今までぞんざいに私を扱い過ぎたことを悪かったって言いたいのかな?
別にぞんざいには扱われても、気にしてないんだけど…。
「……あり、…がと?…私も翔ちゃんの事、凄く大切だと思ってるよ?」
「うん…、鈴、意味分かってねぇーだろ?---いや、分からなくていい。ただ俺って馬鹿だなーって思っただけ」
そう言って私を抱いていた腕を緩め、静かに私から離れた。
まだ、翔ちゃんに抱きしめてもらいたかったな---
私達の間に出来た空間に、寂しく思った。
「翔ちゃん、突然どうしたの?」
「…もうこんな事しねーから安心しな。これからはちゃんと亮平との事、応援するから」