【完】幼なじみのあいつ


そう言った翔ちゃんの顔がどこか痛々しくて、見ている私の方が辛くなった。


私に背を向け、ゆっくりと足を踏み出す翔ちゃん。




亮ちゃんとの事、応援するって言ったけど本当なの?


私は翔ちゃんの事忘れられないから亮ちゃんとの事、もう一度考え直そうと思ってたんだけど---




折角、翔ちゃんが応援してくれるんじゃ、亮ちゃんとは別れない方がいいよね?


だって好きな人が、応援してくれるんだもん。




「…ありがとう。私も翔ちゃんと早紀ちゃんの事、応援するからね?」



本当はこんな事、言いたくなかったけれど、歯をグッとくいしばり笑顔で言った。


辛いけどね---




「………」



足歩止め振り返った翔ちゃんは、一瞬何か言おうと口を開いたけど結局その言葉を飲み込み頷いた。


そして静かに、私を見つめる。



その瞳からは嬉しさが全く感じられなかった事に疑問に思ったけど、何も言わないでおいた。




翔ちゃん、どうしてそんなに辛そうな顔をするの?


それから私達は、会話をする事もなく静かに歩いた。




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