【完】幼なじみのあいつ
「どうして?」
「…修学旅行の日、翔ちゃんに言われたんです。好きな人がいるから別れてくれって…。それって多分、鈴さんの事なんじゃないかな?て思ったんです。鈴さんは今、田宮君と付き合ってますよね?もう鈴さんに翔ちゃんが惑わさて欲しくないので、近づかないで下さい」
ビックリだ。
早紀ちゃんから見て、翔ちゃんは私の事が好きだと勘違いしてるのか…。
「翔ちゃんが私の事好きって…。それって勘違いだよ?それに早紀ちゃん以外、翔ちゃんから好きな人がいるなんて聞いた事がないし。だから安心して?」
そう言った私に対し、じっと見てくる早紀ちゃん。
目が怖いのですが---
「そうですか…、分かりました。やっぱり分かってくれないんですね?」
もう話しはありませんと早紀ちゃんに言われ、あまり気にせず理科室に向かう為に早紀ちゃんの横を通り階段を降り始めた。
横から早紀ちゃんの強い視線を感じる…。
それに引きづられないように強く唇を噛みながら、階段を一段、一段、降りていく。
三段目に足をかけた瞬間、背中を押される感覚がした。
足が、宙に浮く。
危ないと、とっさに身体を丸めながら腕で頭を覆った。
そのまま身体を階段に何度も打ちつけた私は床に着いた時には、意識を失ってしまう。
意識を失う瞬間、早紀ちゃんの冷たい表情が私を見下ろしていたような気がした---