【完】幼なじみのあいつ


はっと気付くとそこは辺り一面、真っ白な世界だった。


今だ唇に何かが触れた感触が残っている気がして、つい自分の指先を唇に持っていく。




「夢…かぁーーー」


リアルな夢だったな…。



もしかして私、欲求不満なのかな?


翔ちゃんと早紀ちゃんのキスするシーンを二回も見たから、私の願望が夢に出てきてしまった?



恥ずかしい…。



恥ずかしさのあまり、ここに誰もいないのにガバッと布団を頭から被ってしまった。




本当に…、


リアルな夢だったな。




キスをしてきた人が誰なのか夢には出てこなかったけれど、それが翔ちゃんだったらいいのに…。



なんて思った瞬間、顔が真っ赤に染まる。



あぁ、やっぱりダメ!


夢でも翔ちゃんとキスするなんてそんなの見た日にはもう、翔ちゃんと顔を合わせられないよ~!!!





布団の中で悶えていると、ふと気付く。



あれ?


ここはどこなのだろうか?




布団からバッと顔を出し、もう一度、辺りを見回してみた。



天井が白色。


私を囲っているカーテンも白。




壁も白---




どうやらここは、自分の部屋ではない。



でも一体、ここは?



ぼんやりと考えていたら途端、私の全身が痛みを訴え出した。


その痛みに耐えながら、




あぁ…、


私は階段から落ちたんだっけ………、と思い出した。




学校の階段から落ちたのならここは保健室か、病院のどちらかのはず。




そう…、


私はあの時、誰かに押されて階段から落ちたんだ。



私が落ちる瞬間、近くにいたのは早紀ちゃんだけだったから絶対に、私を押したのは早紀ちゃん…、だよね?


何で早紀ちゃんは、そんな事をしたの?



< 134 / 239 >

この作品をシェア

pagetop