【完】幼なじみのあいつ
はっと気付くとそこは辺り一面、真っ白な世界だった。
今だ唇に何かが触れた感触が残っている気がして、つい自分の指先を唇に持っていく。
「夢…かぁーーー」
リアルな夢だったな…。
もしかして私、欲求不満なのかな?
翔ちゃんと早紀ちゃんのキスするシーンを二回も見たから、私の願望が夢に出てきてしまった?
恥ずかしい…。
恥ずかしさのあまり、ここに誰もいないのにガバッと布団を頭から被ってしまった。
本当に…、
リアルな夢だったな。
キスをしてきた人が誰なのか夢には出てこなかったけれど、それが翔ちゃんだったらいいのに…。
なんて思った瞬間、顔が真っ赤に染まる。
あぁ、やっぱりダメ!
夢でも翔ちゃんとキスするなんてそんなの見た日にはもう、翔ちゃんと顔を合わせられないよ~!!!
布団の中で悶えていると、ふと気付く。
あれ?
ここはどこなのだろうか?
布団からバッと顔を出し、もう一度、辺りを見回してみた。
天井が白色。
私を囲っているカーテンも白。
壁も白---
どうやらここは、自分の部屋ではない。
でも一体、ここは?
ぼんやりと考えていたら途端、私の全身が痛みを訴え出した。
その痛みに耐えながら、
あぁ…、
私は階段から落ちたんだっけ………、と思い出した。
学校の階段から落ちたのならここは保健室か、病院のどちらかのはず。
そう…、
私はあの時、誰かに押されて階段から落ちたんだ。
私が落ちる瞬間、近くにいたのは早紀ちゃんだけだったから絶対に、私を押したのは早紀ちゃん…、だよね?
何で早紀ちゃんは、そんな事をしたの?