【完】幼なじみのあいつ
「知ってたっていうか別れ話しをした後、しばらくしてから別れるなら鈴に何するか分からないって言われた」
………いつの間に翔ちゃん、早紀ちゃんと別れてたの?
別れたのにまた、付き合った?
早紀ちゃんが私に手を出さないように?
一体、どう言う事?
「早紀ちゃんとはどうして別れたの?あんなに翔ちゃん、早紀ちゃんの事好きだったじゃない…?」
チラッと私を見た翔ちゃん。
しかしすぐに、私から顔を背けてしまう。
その後、顔を背ける直前『まぁな…』と言うのみ、翔ちゃんは答えてはくれなかった。
「…鈴、迷惑かけてごめんな」
そう言って翔ちゃんは、そのまま私の前から去ってしまった。
当事者である筈の私。
しかし結局、何も分からずじまいだった…。
なんで早紀ちゃんは私の事、そんなに目の仇にしていたのだろうか?
考え込んでいると、亮ちゃんが私をそっと抱きしめてきた。
温かい亮ちゃんの体温に驚き、声を上げてしまう。
「えっ?」
見上げると、そこには少し苦しげな表情で目を閉じている亮ちゃんがいた。
どうして亮ちゃんがそんな顔をするの?
「…鈴、まだ翔の事が好きか?」
えっ!…翔ちゃん?
何で今、そんな事聞くのだろう?
そう思ったけどつい、素直にコクコク頷いてしまった。