【完】幼なじみのあいつ
「ほら翔、早く家に鞄を届けてとけよ」
後ろを振り返ることもなく翔ちゃんにさっさと行けと促がす亮ちゃんは、私の体重なんて微塵も感じさせない足取りだ。
亮ちゃんに抱きかかえられている肩越しから見える翔ちゃんは、亮ちゃんを睨んでいたがすぐに諦めたようにため息をはいていた。
そして早紀ちゃんと歩き始める。
いくら亮ちゃんの足取りが速くても私を抱きかかえている分、翔ちゃん達にすぐ抜かされてしまった。
私達を追い越す際、早紀ちゃんはぺこりと私と亮ちゃんに頭を下げていった。
そして翔ちゃんの腕に自分の腕を絡ませると、楽しそうに翔ちゃんと話しだす。
いつも仲の良い、翔ちゃんと早紀ちゃん。
でも…、私の前ではそんな二人を見せないで。
胸が…、
苦しくて苦しくて、押しつぶされそうだよ…。
ただ、翔ちゃんは3人分の鞄を持っていたので、早紀ちゃんと手を繋ぐ事も肩を組む事も出来なかったのがせめてもの救いだ。
だって、翔ちゃんから早紀ちゃんに何かをしている姿なんて見たくないもん。
はぁー、早く翔ちゃんの事忘れたいよぉ。
でも小さい頃からずっと思い続けていたから、中々忘れられないんだよね。