【完】幼なじみのあいつ
「ここには病人がいるのよ?…分かるわね?」
保健の先生の登場に、2人の間に流れていた険悪な空気が拡散された。
翔ちゃんは、掴んでいた亮ちゃんの襟首を離す。
「…2人とも、出て行きなさい」
先生の強い口調に素直に頷いた、翔ちゃんと亮ちゃん。
2人とも私をチラッと見てから、部屋から出て行った。
パタン…と、静かに扉が閉まる。
2人が出て行ったのを確認してから先生は、私の傍までやって来た。
私のお粥の食べ残しを一瞥し、そして体温計を手渡してくる。
「気分はどう?」
気分?
私、そういえば風邪を引いていたんだったっけ?
今の騒動で、すっかり忘れてた。
「えっと…、まだ体調が悪いです」
そう言いながら体温計を受け取り、脇の下に入れる。
「そう……。薬は飲んだ?」
「はい、飲みました」
先生は私の顔をジッと見た後、まだ体調は良くなさそうね…と言いながら隣のベットに腰掛けた。