【完】幼なじみのあいつ
「何かあったら私は303号室にいるから、ホテルの内線で呼び出してちょうだい?」
「…先生は観光はしなくて良いんですか?」
私の言葉に先生は驚いた表情を見せたけど、すぐに目を細めて私の頭を軽く撫でてきた。
「観光はしないわよ?だって私は保健の先生だもの。何かあった時の為にここで待機しなければいけないの。貴方の担任の先生や、他の先生方だってそうよ?観光場所をウロウロしているけれど、それは生徒達に何事もなく楽しく観光して欲しい為に見回ってるの。…あなたは思いやりのある良い子ね」
そう言って先生は大きな鞄を手に、部屋から出て行った。
入れ違いに香織と美香が、朝食を食べ終わったのか部屋に入って来る。
「お待たせーっ!具合はどう?鈴」
「んー、熱が下がってなかった。………ゴメン」
「そっか…。残念だけどしょうがないね」
ガッカリした顔でそう言われると、申し訳なく思ってしまう。
ゴメンね、香織…。
反対に美香は、嬉しそうな顔をしていたけれど。