【完】幼なじみのあいつ ~翔ちゃんサイドストーリー~
「なんだよ?」
いきなり、亮平に鞄を差し出されて驚いた。
しかも亮平と鈴の分。
まさかこの俺様に、亮平の鞄を持てってか?
俺は亮平のパシリじゃねぇし。
イラッとして亮平を睨むと、早紀ちゃんが俺の方に寄り添ってきた。
「鈴、送ってくから俺と鈴の鞄、家に届けておいて」
そう言った亮平は無理やり俺に、鈴と亮平の鞄を俺に持たせた。
俺が文句を言おうと口を開いた瞬間、亮平が鈴をお姫様抱っこする。
それを見た瞬間、俺の口が止まった。
「………」
なんだ?
この感覚---
大事な何かを取られたような感覚に、胸が異様に苦しく感じる。
俺の横を通る時、亮平は俺に向かってニヤリと笑っていた。
その顔に腹が立ち、鈴を姫抱っこしている亮平の背中を睨み付ける。
その横では早紀ちゃんが腕にしがみついて心配そうな顔をしているのが見えたが、そんな事より今は亮平だ。
何だアイツのあの態度は!
苛立ちが半端ない---