【完】幼なじみのあいつ ~翔ちゃんサイドストーリー~


「ほら翔、さっさと家に鞄を届けておけよ」


その言葉に、更に俺の気持ちが高ぶってくる。


俺に喧嘩売ってんのか?




「翔ちゃん?」


早紀ちゃんの心配そうな声に我に返った。


が、やっぱり亮平に対する苛立ちは納まらない。





落ち着け、俺---


軽く深呼吸をし、腕に絡み付いてくる早紀ちゃんと歩く。



亮平達の横を通りぬきざま睨みつけてやったら、亮平は俺の視線に軽く笑みをこぼしていた。




なんだあいつ?


人が鞄持ってやってんのに、フザケンナ!



捨ててやるぞ、この鞄っ!




イライラしている俺の傍で早紀ちゃんは、俺に向かってニッコリ笑ってくれた。


そして今日の楽しかった出来事などを、早紀ちゃんが俺に話してくれたのはきっと俺の心を和ませようとしているからなんだろう…。



そんな早紀ちゃんに答えるため俺も、結構頑張って楽しそうに話した。


でも早紀ちゃんとの会話の内容は、全く覚えていない。




そんな事より、後ろを歩いている鈴と亮平の事が気になって仕方がなかった。


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