【完】幼なじみのあいつ ~翔ちゃんサイドストーリー~
学校帰りに二人でよく行く公園の中、早紀ちゃんと寄り添って歩く。
そこはブランコと滑り台・シーソーしかない、小さな公園だ。
ここがいつも、二人で話しをする憩いの場。
しかし今の俺は早紀ちゃんと話しをするよりも、早くあの二人の所に行きたいという気持ちでいっぱいだった。
「翔ちゃん?ベンチに座らないの?」
「ごめん。今日は帰るわ。……ほら、亮平達の鞄持って行かなくちゃいけねーし」
俺の言葉に早紀ちゃんは涙目になりながら、顔を見上げる。
「じゃ、キスして?」
いつもこの公園で二人、寄り添って話しをしながらよくキスをしている。
しかし今の俺は、何故かそんな気持ちは湧き上がらなかった。
でもそれじゃぁ早紀ちゃんを悲しませるだけだと思い、そっと早紀ちゃんにキスをした。
「チュッ」
軽いリップ音を鳴らし早紀ちゃんの唇から離れるが…、今の俺の気持ちはおかしい---
早紀ちゃんとキスをしたのに、全くドキドキしないのだ。
好きな人といるのに、全然楽しくない。