【完】幼なじみのあいつ ~翔ちゃんサイドストーリー~
「気長に待つつもりだ。自信はある」
「…鈴。お前、亮平と付き合うのか?」
俺は鈴が誰かと付き合うことなんて、想像すらした事がなかった。
だから亮平の付き合う宣言に、かなりショックを受けている。
俺の傍で、いつも笑顔を絶やさず傍にいてくれた鈴…。
それが他のやつのものになる?
そんな現実、俺は受け入れたくねぇ。
「お前はずっと誰とも付き合わず、俺のそばにいて欲しい」
無意識に言ってしまった、自分の言葉に驚く。
自分で言ってて、なに勝手な事を言っているんだと思った。
でも、これが自分の本音なんだ。
「冗談言わないでよ、翔ちゃん!何勝手な事言ってるの?!どうして翔ちゃんが幸せそうにしている横で、私だけ見ていなくちゃいけないのよ?本当に勝手よ!!!」
街灯の下、鈴に泣きそうな顔で言われた言葉に胸を詰まらせる。
鈴に合わせる顔のない俺は、視線を逸らす事しか出来なかった。
「……ゴメン。俺も言ってて分かってるんだ…。勝手な事言ってるって。…でも、鈴が俺の傍から居なくなるなんて想像できないし、俺から離れて欲しくないんだ」