【完】幼なじみのあいつ ~翔ちゃんサイドストーリー~
違うだろ?
お前、今のは冗談じゃねぇだろう?
マジだったよな?
「…それよりいつまで、鈴とくっついてる気だ?」
そう言って亮平は、俺の胸の中にいる鈴を引き剥がした。
テメーの近くに鈴を置いたら、危なっかしくて見てらんねーんだよっ!!!
いい加減頭にきて亮平をぶん殴ってやろうかと立ち上がりかけたところで、隣に座っていた美香が俺の腕にしがみついてきた。
沸騰していた頭が、一瞬で納まる。
そして腕に絡みつく美香の腕を、引き剥がした。
…が、すぐにまた絡み付いてくる美香の腕。
全く離れてくれない事に、俺のイライラは募るばかりだ。
「お前、離れろっ」
「えーっ?……イ・ヤ」
一向に離れない美香にため息を吐き、もういいやと美香を放っておいた。
「ねーっ、翔君。私と付き合わない?」
こっそりと耳元でそう言ってきた、美香をチラリと見る。
美香は上目遣いで、俺の腕に胸を押し付けてきた。
「俺、好きなヤツいるからダメ」
「二股でもいいじゃんっ」
二股?
…あぁ、早紀の事を言ってんのか。
俺の好きなヤツは、鈴なんだけどな。
なんかもう、コイツになにを言っても無駄な様な気がするなぁと溜息をはいた。