【完】幼なじみのあいつ ~翔ちゃんサイドストーリー~


いつもは心地良いと感じる早紀ちゃんのフルーティーな香りが、風にのって俺の鼻腔を擽った。


もうこの香りを嗅ぐ事もないんだな…と、少々感傷的になりながら早紀ちゃんの顔を見る。




早紀ちゃんの表情はどことなく固い。


何かを感じているのだろうか?



俺はゴクリと唾を飲み込み、どう話そうかと考えた。





「…どうしたの、翔ちゃん?」


先に話しかけてきたのは、早紀ちゃんだった。



どこか不安気な顔の早紀ちゃんに、これから早紀ちゃんを傷つけてしまうかもしれないと思うと胸が痛くなる。


それでも言わなければ…と、早紀ちゃんの目を見た。





「早紀ちゃん、別れて欲しい…」


周りの騒音がかき消されるように、俺と早紀ちゃんの世界だけが無音になった気がした。


目の前にいる早紀ちゃんは物凄く驚いた顔をして、俺を凝視している。




口を開いて、なにか言おうとする。


でも結局、何も言葉に出来ずにまた口を閉じた。




目を泳がせている早紀ちゃんを、ジッと見る。


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