【完】幼なじみのあいつ ~翔ちゃんサイドストーリー~
俺は本当に、早紀ちゃんが好きだった。
嘘じゃない。
でも今は…、
早紀ちゃんといても以前のような気持ちにはなれず、一緒にいても気持ちが鈴に向かってしまうのだ。
こんな気持ちのまま早紀ちゃんといてもお互いの為にはならないし、俺自身早紀ちゃんを今までみたいに扱える自信は全くなかった。
「本当に、ごめんな」
俺の言葉にイヤイヤとでも言うみたいに、ただただ首を振る早紀ちゃんに本当に申し訳ない気持ちで一杯になった。
* * * * *
そろそろ集合時間が近づいてきたのか、周りにいた俺達の学校の修学旅行生達がバスの方向に向かって歩いているのが目に付いた。
目の周りを真っ赤にした早紀ちゃんをベンチから立たせ、ゆっくりとバスに向かって歩く。
その間、やはり俺達二人の間は終始無言。
チラリと早紀ちゃんを見ると顔は下を向いていて、表情はよく見えない。
足元はよろよろとおぼつかなくて、危なっかしい。