【完】幼なじみのあいつ ~翔ちゃんサイドストーリー~
早紀ちゃんと別れ自分のクラスのバスに乗り込むと、鈴とバチリと目があった。
なにも話す気力のなかった俺は、鈴に視線だけ送ってすぐに自分の座席に座る。
そして隣のバスに目を向けた。
隣のバスではヨロヨロと通路を歩いている早紀ちゃんが見えた。
すぐに視線を前へと戻し、目を瞑る。
もう何も考えたくない---
俺は寝たふりをする事に決め、目の上に片腕を乗せた。
ヤバッ…。
俺、泣きそうかも---
早紀ちゃんの事を考えていたら、不意に目頭が熱くなるのを感じた。
ゴメンな、早紀ちゃん---
* * * * *
ホテルに着き、すぐにベッドの上に転がった俺の横に亮平がやってきた。
ベッドがギシリと音をたてる。
俺が横になっているベッドに、亮平が座ったのだ。
「……なんだよ?」
ボーっと天井の白い壁紙を見ながら、亮平の言葉を待つ。
「もしかして早紀ちゃんと別れた?」
何だコイツ。
ほんっと、カンがいいな。
俺は何も言わず、ただ頷いた。