【完】幼なじみのあいつ ~翔ちゃんサイドストーリー~
「なんでだ?」
「………」
その質問には答えたくなくて立ち上がり、亮平を見ずに風呂に入る準備する。
用意が終わると亮平に何も言わず、さっさと部屋から出て行った。
さっきの質問の答え………、それは俺が鈴を好きなったから。
いや…、違うな。
もしかしたら俺はずっと、鈴が好きだったのかもしれない。
それを分からせてくれたのは他でもない…、亮平だった。
* * * * *
「話しをしたいの」
風呂から出ると、浴衣を着た早紀ちゃんが立っていた。
目を見開き早紀ちゃんを見るが、当の本人はさっさと俺に背を向け歩き始める。
一瞬戸惑ったが、俺もすぐに早紀ちゃんの後ろを歩き出した。
話し?
………まぁ、そうだよな。
別れ話をした後、早紀ちゃんはただ泣いていただけで話し合いという話しはしなかったしな。
軽くため息を吐きながら、早紀ちゃんの浴衣姿を眺める。
可愛らしい、牡丹の柄が入った浴衣。
早紀ちゃんはとっても似合いの浴衣だ。
いつもなら早紀ちゃんを褒めまくるであろう俺の口は、閉ざしたまま。
何を言われるかわかんねぇけど、何を言われてもいいように覚悟を決めた。