【完】幼なじみのあいつ ~翔ちゃんサイドストーリー~
今日は俺たち男子バスケ部の、地区予選決勝の日だ。
女子バスケ部員である鈴も見に来るとあって、テンションも高くなる。
沢山の人達の声でざわめく体育館の中、コート内に入った俺は軽くアップをしながら二階席に座る女子バスメンバーの中にいる鈴に目をやった。
周りの皆と楽しそうに談笑している鈴の姿が見えて、口元が緩んでしまう。
「翔せーんぱいっ。なにニヤケてんですか?」
俺の後輩のノブが、にニヤニヤしながらやってくる。
つーか、お前の方がニヤケてるんじゃねーか?
「うっせぇっ!」
「痛ったー…。翔先輩、ヒドイっす!」
バスケのボールをノブにぶつけてやったら怒られた。
「ハイハイ、ゴメンゴメン---」
ノブの頭を撫でながら苦笑したら、またノブがニヤつく。
「…なんだよ?」
ノブの頭に乗せていた手をどけ眉間にシワを寄せると、ノブはチラッと観客席を見てからまた俺を見る。