【完】幼なじみのあいつ ~翔ちゃんサイドストーリー~
「翔先輩、今、鈴先輩の事見てたでしょ?」
「…見てねぇーよっ!」
一瞬、ノブの言葉にドキリとしたが、俺は腕を組み更に深く眉間にシワを寄せてノブを睨み付けた。
「ハイハイ、すみません」
そう言ってノブは俺の手から離れたボールを拾い、それを俺に軽くパスして手渡してくれた。
俺の手元にボールが渡ったのを見届けてから、ニヤリと意味ありげに笑ってから去っていく。
なんなんだ、あいつは?
* * * * *
ピーッ!!!
試合開始の合図がなった。
瞬間、俺の鼓動が高鳴り胸を熱くする。
この瞬間がたまんねぇーっ!!!
ペロリと舌なめずりをした後、俺がマークするヤツに近づいた。
そいつは俺よりかなり身長のあるヤツで、スピードもテクニックもすげぇ。
でも俺はこんなヤツに、ゼッテー負けない。
やってやる!
ジャンプボールが始まり、キャプテンが俺に向かってボールを投げた。