【完】幼なじみのあいつ ~翔ちゃんサイドストーリー~
こう言っちゃぁなんだが、俺様の華麗なるドリブル捌きにより俺が先取点を取った。
「おっしゃーっ!」
さ、これから俺はアシストだ。
チームの作戦で、俺が守りに入る事を命じられたんだからしょうがねぇ。
本当は走り回りたいが、今回は我慢だ。
この試合、なかなか苦戦を強いられていた。
後、2点取れれば同点だと言うのに中々上手く事が運ばない。
俺の苛立ちが募っていく。
チッ、走りてぇ---
それでもさっきまでニヤけたキャプテンの顔が、今は必死の顔をしてるんだ。
苛立っているのは向こうも同じ。
ダラダラと零れ落ちる汗を拭う余裕もなく、必死にボールを追いかける。
「アチーッ」
「俺も同じだバカ…。それにしてもお前、やるな」
横から聞えてきた声に目を向けると、キャプテンがいた。
俺をマークしているのだろう---
「…なにが?」
「さすが俺とキャプテンの座を争っただけの事はある」
その言葉に俺はニヤッと笑った。
俺に飛んできたボールを受け止め、キャプテンに向かってドリブルする。