【完】幼なじみのあいつ ~翔ちゃんサイドストーリー~
「鈴。作戦Z、いくぞ」
そろそろ試合も終わりそうだ。
鈴に作戦決行を伝えるため、鈴の横に並んだ。
「…えっ?………イヤだ」
「やるの!ホラ、行くぞっ!」
作戦を決行すべく、鈴にボールを渡しゴール下に向かった。
後ろからドリブルする音が聞えてくる。
見ると、イヤイヤ俺の後ろを鈴が来る。
思わず笑ってしまった。
柴犬が走ってきやがる---。
よし、このまま俺のところまで来い!!!
「ホラ、鈴来いっ!!!」
片膝をつき両手を組んで手の平を前に出し、鈴の名を呼ぶ。
「翔ちゃんのバカッ!!!!!!」
叫びながら俺に向かって走って来た鈴は、俺の両手の上に足を乗せた。
タイミングよく俺は立ち上がると思いっきり、鈴を遠くへ飛ばすイメージをしながら投げる。
鈴も俺のタイミングに合わせ、思いっきりジャンプした。
高く飛ぶ鈴が窓から届く光を一身に浴びて、光り輝いて見えた---
飛んでいる鈴には羽がついているように見え、キラキラ輝きながらゴールポストを目指す。