ツレない彼の愛し方【番外編追加】
咄嗟のことに戸惑いを隠せずにいる私の手を取って、ソファにストンと座らせた。
頭をポンポンと叩いた早瀬が「シ~!」と人差し指を立てると音を立てないようにドアへ向かった。勢い良くドアを引くと…
「わっ!!!!!!」
雪崩混んで来た大の男が3人。
「やっぱり」
そこにはお兄さんと朽木くん。そしてお父さんまで。
はぁ、とため息をこぼしながらどこか嬉しそうな早瀬。
「盗み聞きなんて趣味が悪いですよ」
早瀬がにやりと笑う。
「だって隆ちゃん達、遅いんだもん」
と、拗ねているお父さん。
「親父が様子見に行こうっていうから。でも取り込み中だったみたいだから、ドアの前で待ってた」
完全に盗み聞きをしていたことをバラしているお兄さん。
「響さーん!!!!!!」
と駆け寄って来る朽木くん。
「省吾、うざい!」
と、それを羽交い締めにする早瀬。
家族だった。
「響ちゃん、綾乃ちゃんより美人さん…!」
突然、爆弾を落とすお父さん。
「父さん!!!!!!」
「親父!!!!!!!」
空気が読めないお父さんには時々困ることがあると和泉さんがこぼしていたことを思い出す。
ちょっと焦りながら「でも良子さんには負けるけど・・・」と悪びれた様子もなく呟いている。そんな男どもの騒ぎに驚いて駆けつけたお母さんと和泉さんは一喝してみんなを黙らせる。
これが朽木家なんだ。と目の前の暖かい家族を見て穏やかな気持ちになっていた。
「響、ありがとう」
「ん?」
「俺が勝手に家族との距離を作ってカッコ付けていた。本当はずっと前からみんなに甘たかったんだ。でもその厄介な気持ちは自分ではどうしようもできなかった。家族という絆がちゃんとあったのに、俺はそれを見落として生きて来たんだな。お前がいたからあの家族に戻れた気がする。お前が仲間入りしてくれたら最強だ。お前は母さんや姉さんと少し似てるかもしれない」
そう言って、早瀬は私の手を握っていた。
「響、ありがとう」
と優しく微笑む早瀬の瞳は、少しだけ潤んでいた。
「私はなにも…」
「お前がいたから…
俺が父親になるチャンスを与えてくれた。あの家族との絆をもう一度、確認できたんだよ」