ツレない彼の愛し方【番外編追加】
隆之介さんと響ちゃんと別れた後、そのままニューヨークへ向うために空港へ向う車の中。
綾乃が響ちゃんに襲いかかったあの日、綾乃と二人で訪れた海のことを想い出していた。
僕たち二人の子供が眠る海。
高速を飛ばして都内から2時間かかる静かな海。
海水浴もできないテトラポットが並ぶ海岸の防波堤で二人夕方になるまで海を眺めていた。
12年前のあの日のように。
「修ちゃん、ごめんね」
「なにが?」
「今回のこと」
「謝るのは俺にじゃないだろ。隆之介さんと響ちゃんにちゃんと謝れ」
「うん...あと...」
「あと?」
「あの時、赤ちゃん、守れなかったこと、ごめん」
綾乃の声を聞いただけでわかる。泣いていること。
「お前が謝ることじゃない。それに...」
「私もどこかでホッとしていたの。まだ学生だったし、やりたいこともたくさんあったのに母親になる準備なんてできなかった」
「.....」
「なのに修ちゃんばかりを責めて、修ちゃんだけを悪者にして逃げてた」
「もう終わったことだ」
「...そうだね」
どこか吹っ切れた顔をした綾乃が僕が言った言葉を繰り返す。
「もう...終わったことなんだよね...そろそろ前に進まなくっちゃ、私達」
綾乃は何かを覚悟したんだと悟った。
またあの時のように綾乃が俺から離れて行こうとしている
ああ、そっか...俺はまた同じ間違いを繰り返す。
でも今回はちゃんと気づけたじゃないか。
綾乃を手放してはいけないと。