ツレない彼の愛し方【番外編追加】
パーティが始まってしまった。
私はしばらくパウダールームから出られずにいたから遅れて会場へ入る事に。
「響さん、遅い! って、どうしたんですか。何、泣いてるんですか?」
「美咲ちゃん、足痛いよ…胸が苦しい…よ。」
「えっ?ドレスきつかったんですか?靴づれしちゃいました?サイズ合わなかったのかな。響さん、ごめんね。」
オイオイ泣く私の背中をさすりながら、美咲ちゃんが心配してる。
美咲ちゃん、違うの。ごめんね。
違うの、胸が苦しいのは…
隆之介と呼ぶ綾乃さんの存在が脅威で、私なんて叶わないと思ったから。
早瀬がかけてくれた言葉に自惚れていた私を呆気なく奈落の底へ落としていった彼女の存在。
綾乃さんに比べたら、私なんてちっぽけだ。
早瀬の挨拶が始まると、私達にも注目を浴びる。
私はなるべく平静を装って笑顔を振る舞った。
このレストランのデザインでこだわったところ、レストランに来て下さるお客さんへのメッセージなどを説明していた。
コンセプトは事務所で何度も練り上げて来ているし、早瀬がどこに力を入れていたか、私にはすぐわかる。
でもそれはすべて…
綾乃さんの為だったんじゃないかとネガティブな方へと考えが向かっていく。
当たり前か。
クライアントだもん、始めから彼女の仕事のために、彼女のために動いていたんだよね。
挨拶が終わると、綾乃の横へと移動した早瀬の腕に綾乃がそっと腕を絡ませる。
早瀬が綾乃を見て柔らかい笑顔を浮かべている。
どこから見てもお似合いのふたり。
あんな社長の笑顔…見たことがない。
私はそんな二人を直視することができず目を逸らした。
やだ・・・気分が悪い。手足が冷たくなってくる…。
「響ちゃん、大丈夫?」
私の変化に気が付いて、由加里さんがそばに寄り添ってくれている。
「はい…大丈夫です。なんかムリしちゃったみたいで。申し訳ないんですけど、一足先に抜けさせてもらっても良いですか?」
「そう?なら、タクシー呼んであげる。」
「あ、ひとりで大丈夫ですから。」
「でも…」
由加里さんが心配そうに顔を覗き込む。
「僕、付き添います。」
「ダメだよ、朽木くん。せっかくのご招待なのにうちの事務所から二人も抜けたら社長の顔が立たないし。私は大丈夫だから。すみません…」
そう言って、私はレストランから足早に抜け出した。