海恋
透き通る濁り1つない綺麗な漆黒の瞳の中に、あたしが映っていた。
そ、そんな綺麗な目で、じっと見つめないでよ。
「…生きてる意味なんて、ないと思ったから」
七海が、驚いたような顔をする。
「あたしが生きてても生きてなくても、同じだもん。
それに、あたしが死んだって、悲しむ人は誰もいない」
「…咲良が死んだら、俺が悲しいよ」
切なげに呟く七海の瞳が、多少潤んでいる気がした。
黒く、哀しげに光る瞳。
「咲良…うにげぇさ。
死なないで。咲良が死んだら、俺だけじゃないけん、身内ぬ人だって悲しむんだからさぁ」
「あたしに家族なんていない」
そう。
あたしに、家族と呼べる人なんて、1人もいない。