海恋
母親なんて今頃、あたしが家出した事すら知らないだろう。
手紙は、母親が大好きって風を装って、書いて来た物だけど…。
あの手紙、あたしの部屋の机の上に置いといたんだけど、一生見つかる事なんてないだろう。
「…咲良、とりあえず俺ん家行こう。
もう暗いから」
「えっ、ちょっ…」
断る前に、腕を引かれてしまう。
もう、付いて行くしかなさそうだ。
コイツに腕を掴まれたら、最後だから…
浜辺を出て林を出て、少し歩いた所に、七海の家はあった。
石垣で作られていて、この地域の守り神、シーサーが置かれている、普通の沖縄風の家だった。
「おばあ、なまちゃん~」
…なまちゃんって、誰??