女子高生の私と不機嫌な若頭
「もっと、色んな杏奈を見たいんだ。それを俺だけに見せて欲しい」
涼介さん……
私も涼介さんの色んな顔が見たい
私だけの涼介さんでいて欲しい
言いたいけど恥ずかしい
だから、頷くことしかできない
「杏奈に見せたいものがある」
そう言って涼介さんは
私の手を取りソファへと座る
そして、スーツの内ポケットから
1枚の紙を出して私に渡した
わけがわからず
紙を広げてみた
『……婚姻……届』
そこには涼介さんの名前が書いてあった
涼介さんは婚姻届のある部分を指差した
そこには……お父さんの名前
しかも直筆だった