禁断のプロポーズ
「セッティングはともかく、お前までついていくことないだろう」

「だって、幹事なんですもん」

「じゃあ、連れてったら、すぐ帰れ」

「なに揉めてんのー?」
と克己の声がした。

 現れた彼は、台所を眺め、
「昭和レトロだね、懐かしい」
と笑ったあとで、言う。

「未咲ちゃんを責めないでよ。

 僕が居てもらったんだよ。

 美女軍団、怖いから。

 あの人たち、隙あらば誘惑してくるからねえ。

 わかってるんだよね、彼女たち。

 自分たちが、もてはやされるのなんて、一瞬だってことがね」

 そう言った克己の顔は酔ってはいないように見えた。

「だから、秘書に居て、ちやほやされてる間に、社内の有望な男を捕まえときたいのさ。

 その点、未咲ちゃんと居ると、安心だよね。

 夏目のお手つきなのは、みんな知ってるから、女子も前程、君を警戒してないしね。

 一緒に居ても、僕も君も、後から、突き上げられることもないから」

「別に、手はつけてませんが」
と言う夏目に、

「一緒に住んでるのに?

 相変わらず、面白いねえ、君は。

 ああ、君とか言っちゃいけないよね、遠崎課長」

 そんな克己の発言に、夏目は渋い顔をしていた。

 一足飛びに課長になったことは、彼にとっては、あまりいいことではないようだった。
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