禁断のプロポーズ
「それとも、なにか別の目的があって、未咲ちゃんと暮らしているのかな。

 君は、『彼女』とも親しかったようだからね」

 一瞬、窺うように見て言った克己だったが、すぐにいつもの口調で、

「ねえ、酔いが冷めちゃった。
 呑み直そうよ」
と言い出す。

「近くにコンビニあったよね? 来るとき」

「いや、酒なら、いろいろとありますよ」

「さすがだね、未咲ちゃん」

「……魚でも焼きますよ」

 二人のやりとりに、諦めたのか、夏目はそう言い、冷蔵庫を開けた。

「ごめん。
 お手洗い何処かな」
と言う克己を、未咲は、

「こっちです」
と案内する。

 縁側を歩く克己は虫の鳴く庭を見ながら、
「いいねえ。
 落ち着くよね、こういう家」
と微笑んだ。

「水沢さん」

「なにー?」

「水沢さんは、なにしに此処に来られたんですか?」

「やだなあ。
 未咲ちゃんを送ってきたんじゃない」
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