禁断のプロポーズ
 


 朝、一通りの仕事を終えての第二秘書室。

 未咲が壁の側の長テーブルで、珈琲を淹れながら、大欠伸をしていると、いきなり後ろ頭をはたかれた。

「なに?
 寝不足?」
と訊いてきたのは、克己だった。

「いや〜、一晩中、ゴムまりが跳ねてまして」
と言うと、なにそれ、と言われる。

 そこへ、
「水沢さんっ」
と灰原がやってきた。

「昨日は、どうもありがとうございました」
と顔を赤らめて頭を下げる灰原に、克己は少し、あれっ? という顔をしていた。

「うん。
 こちらこそありがとう。

 ごめんね、早くに帰っちゃって。

 あれからどうしたの?」

「みんなでカラオケはしごしました。
 また、ご一緒させてくださいね」

「楽しかったよ。
 また遊ぼうね」
と手を振り見送ったあとで、克己は舌打ちをする。

「あの莫迦、失敗したのか」

「いいじゃないですか、別に」
と言うと、溜息をつき、

「それ、僕にもくれない?」
と珈琲を指差すので、

「いいですよ」
と紙コップに注いでやった。
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