禁断のプロポーズ
 第一も第二も一緒に珈琲代を集めているので、客ではないが、克己に渡す分には構わない。

 熱い、と文句を言いながら飲んでいる克己の横顔を見ながら訊いた。

「ねえ、なんで、企画事業の人だったんですか?」

 うん? と克己がこちらを見る。

「灰原さんをなんで、企画事業の人とひっつけようとしたんですか?」

「いや、あいつが灰原をいいって言ってたからだよ」

 そうですか、と言うと、
「なんでそんなこと訊くの?」
と言われてしまう。

 未先は今、珈琲を淹れていた長テーブルに腰ですがり、呟くように言った。

「いやあ、たいした意味はないんですが」

「夏目の企画事業部だから気になる?

 僕が夏目の部下に灰原を当てがって、機嫌をとってるとでも?

 それで、あいつから、いろいろ聞き出して、夏目の弱みを握ろうとしてるとか?」

「いや、灰原さんに、その人から課長の情報を聞き出してもらおうと思ってるのかと」

「なんで?

 あいつと付き合いだしたあとじゃ、灰原はもう僕の言うことなんて聞かないだろ?」

「そんなこともないですよ。
 今、あんなにラブラブなんですから」

 克己は一口珈琲を飲んで、
「前言撤回しようかな」
と言い出した。

「君の発想の方が恐ろしいなあ。

 第二で一番、怖いかも。

 さすが、専務が見込んだだけのことはある」

 いや、私の発想がそうなんじゃなくて、克己さんがやりそうだって話なんですけどね、と思ったが、それを口に出すのも失礼なので、黙っていた。
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