禁断のプロポーズ
「本当にお前は冗談が通じない。
気づいてたよ、もちろん。
お前が居るのは!」
居間でお茶を前に、克己が訴える。
あまりに大仰に言うので、本当は気づいてなかったのでは、と逆に疑ってしまった。
「どうですかね?
まあ、やっていい冗談と悪い冗談がありますが」
と未咲は不貞腐れて言う。
克己が自分にキスしたことまでは、夏目は知らないようだった。
あのときにはまだ、足音が聞こえていなかったから。
克己は、落ち着くためにか、お茶を一口飲み、横目に廊下の方を見て言った。
「それより、僕はこの状況で起きてこない平山が怖いよ」
「疲れてるのか、ああ見えて、なにも悩みがなくて、熟睡できるのか」
と夏目が呟く。
年頃の女性に、なにも悩みがないだろうと思うのは、かえって失礼なような、と思っていた。
「ともかく、僕は君の姉さんとはなんにも関係ないからねっ」
睨んでやると、
「関係なくはないけど、自殺には関係ないからねっ」
と言い直す。
「二、三度弄んで、なにも得られる情報がなかったから、捨てただけですよね」
「人聞きの悪い。
僕が弄ばれたとか思わないわけ?」
「邪心があって近づいた時点で、貴方の負けですよ」
待った、と克己が言う。