禁断のプロポーズ
「ねえ? 夏目」

 しかも、同意を求めるな。

 だが、夏目はそれらの話をすべて切り捨て、訊いていた。

「水沢さん。

 水沢さんは、あいつの死を自殺だったと思ってるんですか?」

「さあねえ。

 自殺でも、殺されても、本人が死にたいと思ってたり。

 自らそういうところに飛び込んでいったりするようじゃ、自殺と同じだろうね」

「おねえちゃんは、そういう心境だったってことですか?」

「さあー?

 でも、僕なんかにすがってくるくらいだからね」

「そうですね。
 絶対、本気じゃなさそうだし、絶対、騙されそうなのに」

「本当に一言多いよ。

 じゃあ、未咲ちゃんが僕を本気にさせてよ。

 僕だって、誰かを好きになってみたいんだよ。

 ま、もう無理だと思うけどね」
と言う克己に、

「あのー、すみませんが。

 此処でそういう会話はやめてもらえますか」
と訴えた。

 押し寄せる夏目の気配に、私が無礼討ちにされそうだ、と思っていたからだ。
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